アルツハイマー病は、患者としても介護者としても女性に大きな負担を与えていることが、アルツハイマー病協会(AA)による報告「2014 Alzheimer's Disease Facts and Figures」で明らかにされた。65歳の米国人女性は後にアルツハイマー病を発症する確率は6分の1で、同年齢の男性は11分の1という。また、60代の女性がアルツハイマー病を発症する確率は乳がんの2倍という。
今回の報告ではさらに、アルツハイマー病の近親者を24時間介護する女性の数は男性の2.5倍であることがわかった。また、女性介護者は男性に比べ、介護のためフルタイム勤務からパートタイムに切り替える比率(20%対3%)、休職する比率(18%対11%)、仕事を辞める比率(11%対5%)が高かった。「アルツハイマー病の患者としても、介護者としても女性が多くを占めている」と、同協会のAngela Geiger氏は述べている。500万人を超える米国のアルツハイマー病患者のうち320万人が女性だという。
米国では今年、アルツハイマー病やその他の認知症による医療費の総計が2,140億ドル(約22兆円)に達し、メディケアおよびメディケイドの請求額は1,500億ドル(15兆4,200 億円)となると予想されている。この数字には家族や友人による無償の介護は含まれておらず、2,200億ドル(約22兆6,140億円)以上に相当するという。現在、1,550万人の介護者が177億時間の無償の介護を提供している。結果として多くの介護者が自身も健康問題を抱え、その身体的・精神的負担により、2013年に介護者の医療コストは約93億ドル(約9,600億円)増大したと報告されている。
アルツハイマー病の影響はベビーブーム世代の高齢化により増大する可能性が高い。現在の傾向が続けば、2050年には米国で1,600万人がアルツハイマー病になり、国に1兆2,000億ドル(約1,230兆円)の費用がかかると考えられる。メディケアおよびメディケイドの支出は500%増大、自己負担の支出は400%増大すると予測されている。
アルツハイマー病は米国で死亡原因の第6位となっているが、家族歴がなければリスクはないなどの誤った認識をもっている人が多いという。Geiger氏は、「男女を問わず、家族歴の有無にかかわらず、誰しもアルツハイマー病のリスクがある。年齢が同疾患の最大のリスクファクターであり、米国は老いてきている。国が一丸となって、われわれの大きな財産である脳を守っていく必要がある」と述べている。
今回の報告はアルツハイマー病協会誌「Alzheimer's & Dementia」3月号に掲載される。(HealthDay News 3月19日)
http://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/alzheimer-s-strikes-more-women-than-men-report-685955.html
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