このほど改定されたガイドラインに従うと、米国で約580万人の成人が高血圧治療薬を処方されなくなる可能性があることを、米デューク大学(ノースカロライナ州)医学部のAnn Marie Navar-Boggan氏らが報告した。米国高血圧合同委員会第8次報告(JCN8)は2月、60歳以上の血圧目標値を140/90mmHgから150/90 mmHgへと緩めるガイドラインを発表し、議論を呼んでいる。このガイドラインではさらに、糖尿病と腎疾患のある成人の血圧目標値も緩和している。
Navar-Boggan氏らは、米国人1万6,000人強の2005年~2010年の血圧データを用いて、改定後のガイドラインによる影響を評価した。検討の結果、高血圧治療適応とされる成人の割合は41%から32%に減少すると結論付けている。さらに、血圧管理が不十分とみなされていた1,350万人の成人(大部分は60歳以上)が、十分に管理できているとみなされることになる。このうち580万人は、今後は降圧薬が不要となるという。
Navar-Boggan氏によると、「新ガイドラインでは、このような成人を依然として高血圧とみなすべきかどうかについては触れていないが、今後は降圧薬を使用する必要はなくなる」としている。現在、60歳を超える成人の4人に1人が高血圧治療を受けている。同氏は、「このような成人は、特に副作用がある場合、新ガイドラインの下では降圧薬治療は不適当とされる可能性がある。しかし、多くの専門家はこのような成人の血圧上昇が有害である可能性を懸念している」と述べている。
Navar-Boggan氏によると、新ガイドラインの下でも約2,800万人の成人は血圧管理が十分でないとみなされ、その半数以上は治療を受けていないという。血圧管理ができていない場合、心筋梗塞や脳卒中のリスクファクターとなると同氏は指摘している。今回の研究結果は、ワシントンD.C.で開催された米国心臓病学会(ACC)年次学術集会で発表され、「JAMA」オンライン版に3月29日掲載された(印刷版は4月9日号)。(HealthDay News 3月29日)
http://consumer.healthday.com/circulatory-system-information-7/blood-pressure-news-70/new-blood-pressure-guidelines-686243.html
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