定期的な有酸素運動が、高齢女性の脳の記憶領域を広げ、認知症の進行を遅らせるのに有用である可能性が小規模研究で報告された。
カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学(バンクーバー)のTeresa Liu-Ambrose 氏らの研究で、「軽度認知障害」といわれる軽度の記憶障害のみられる70~80歳の女性86人を対象とした。軽度認知障害は、認知症の一般的リスクファクターとされている。被験者にはMRIを実施し、言語記憶や学習に関与する脳部位である海馬の大きさを評価した。
被験者は、1時間の有酸素運動(早歩き)、筋力トレーニング(ウェイトトレーニング、ランジ、スクワットなど)またはバランス・筋肉調整運動のいずれかを週2回6カ月にわたり実施した。この運動プログラムを完了した後、被験者のうち29人の海馬サイズを再度測定した。その結果、6カ月の有酸素運動を完了したグループでは海馬の有意な拡大が認められたが、他のグループにはそのような変化はみられなかった。
ただし、研究グループによると、海馬の拡大と言語記憶の低下との関連を示す知見もあり、脳の容積と知能の関係は複雑であることが示唆されることから、さらに研究を重ねる必要があるとしている。なお、この研究では有酸素運動と海馬サイズの間に関連が認められたが、因果関係は裏付けられていない。
それでも、この知見は認知症リスクのある女性の海馬の萎縮が有酸素運動によって緩やかになることを確かに示すものであると著者らは述べ、軽度認知障害を予防するために定期的な有酸素運動を行うことを推奨している。世界では4秒に1人が新たに認知症と診断されており、2050年までに認知症患者の数は1億1,500万人を超えると予想されるという。この研究は、「British Journal of Sports Medicine」オンライン版に4月7日掲載された。(HealthDay News 4月9日)
http://consumer.healthday.com/men-s-health-information-24/men-s-problems-health-news-469/briefs-emb-4-1-men-skin-cancer-death-jco-karolinska-release-batch-1112-686421.html
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