ストレスによって女性の不妊症リスクが増大する可能性が米オハイオ州立大学医学部のCourtney Lynch氏らの研究で示唆された。Lynch氏によると、妊娠を希望する女性を対象に、唾液中のストレスに関連する酵素、α(アルファ)アミラーゼの値を調べた結果、「ストレス値が高い女性は不妊症のリスクが2倍だった」という。
今回の研究では、テキサス州とミシガン州の一部の群で、妊娠の試みを開始したばかりのカップル約500組のデータを収集。対象の女性は研究開始時と最初の月経後の2回唾液を採取した。αアミラーゼはアルコール、たばこ、カフェイン摂取の影響を受けることがあるため、朝起床してすぐに唾液を採取するよう指示。カップルを12カ月間追跡した結果、研究を完了した約400組のうち、87%の女性が妊娠した。年齢、人種、所得、アルコール、カフェイン、たばこの摂取について調整した結果、αアミラーゼ値が最も高い群では最も低い群に比べて妊娠の可能性が29%低いことがわかった。
Lynch氏によると、この結果はストレスだけが不妊の理由であることを示しているわけではない点を明確にしておくことが重要だという。「5~6カ月にわたって妊娠を試みても成功しない場合、生活習慣を見直し、ストレスが問題となっていないかを考えてみる必要がある」と、同氏は述べている。なお、米国の研究で、ストレス指標と妊娠に要する期間との間に関連が示されたのは今回が初めてという。
米ペンシルベニア大学の生殖内分泌学・不妊症専門医Suleena Kansal Kalra氏は、ストレスホルモンの有効な指標やストレスを測る有効な質問票がない点を挙げ、次のステップとして、ストレスを評価するツールの有効性を確認すべきと指摘している。Lynch氏によると、ストレスがどのように妊孕(にんよう)性に影響を及ぼすかはわかっておらず、性行為の頻度には差がみられないという。男性のデータも収集しているが、まだ分析していないため、男性のストレスによる影響は不明。
不妊に悩む女性がストレスの多い生活を送っていたとしても、自分を責めてほしくはないとLynch氏は述べている。Kalra氏もこれに同意し、不妊に関連する第一の因子は加齢であり、喫煙や肥満の影響も注目されていると指摘している。Kalra氏は、ヨガ、瞑想、栄養カウンセリング、心理学者によるサポートグループを併用した妊娠支援プログラムを立ち上げる予定。「ストレスが不妊の根本原因となるかどうかはわからない。女性にストレスを減らせば妊娠すると話すことは逆効果であることも多い」と述べている。今回の研究は「Human Reproduction」オンライン版に3月23日掲載された。(HealthDay News 3月24日)
http://consumer.healthday.com/infertility-information-22/infertility-news-412/stress-may-harm-a-woman-s-fertility-study-suggests-686050.html
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