これまでの研究でも、放射線療法および化学療法と胃がんリスクの関連は認められていたが、対象範囲が限定されていた。この関連についてさらに詳細に知るため、米国立がん研究所(NCI)の研究グループは、1953年~2003年に米国、カナダ、オランダ、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンで診断を受けたホジキンリンパ腫の生存患者1万7,400人強を対象に検討した。生存者のうち89人が、後に胃がんを発症したことが判明。解析の結果、胃に照射した放射線量が高いほど胃がんリスクが高く、最も高い線量を受けた群は、最も低い線量を受けた群に比べ、胃がんの発症率がほぼ3倍だった。
この放射線療法による胃がんリスクは、アルキル化薬の1つ、プロカルバジン(化学療法薬の1つで、DNAを損傷する)の投与を受けていた患者ではさらに高かった。胃がんリスクは放射線量とプロカルバジン投与量に高い依存性を示した。今回の研究は、ホジキンリンパ腫患者の胃がんリスクに対する化学療法と放射線療法の強い相互作用について明白なエビデンスを示した初めての研究だが、因果関係を裏付けるものではない。
今回の研究ではこのほか、プロカルバジンに類似するアルキル化薬で現在ホジキンリンパ腫の治療によく用いられているダカルバジンの投与を受けた患者でも、胃がんリスクの増大がみられることが示唆された。しかし、この関連を裏付けるにはさらに研究を重ねる必要があるという。他のアルキル化薬と胃がんリスク増大の関連は認められていないと、「Journal of Clinical Oncology」オンライン版に8月26日掲載された今回の研究では報告している。
筆頭著者であるNCIのLindsay Morton氏は、「ホジキンリンパ腫の治療が後に重大な悪影響をもたらすという懸念が増大しつつあるが、この研究はその懸念を強く裏付けるものである。ホジキンリンパ腫患者は一般に20~30代で治療を受けているため、胃がんの多くは50歳前に生じる。これは、それまでがんのなかった患者が新たに胃がんと診断される一般的年齢よりもほぼ20年早い。生存患者の経過を観察する医師は、患者の胃腸症状の訴えに注意する必要がある」と付け加えている。(HealthDay News 8月28日)
http://consumer.healthday.com/cancer-information-5/lymphoma-cancer-news-101/briefs-emb-8-26-4pmet-hodkgin-lymphoma-treatment-stomach-cancer-jco-nci-release-batch-893-679537.html
Copyright (c) 2013 HealthDay. All rights reserved.