今回の研究では、疫学調査「女性の健康イニシアチブ(WHI)」で収集されたデータから、1990年代の時点で50~70歳だった女性14万5,000人について検討した。12年の追跡期間中に少なくとも1種類のがんを発症した閉経後女性約2万1,000人に焦点を当てた。その結果、患者の年齢、飲酒・喫煙歴、学歴、体重、ボディ・マス・インデックス(BMI)、ホルモン補充療法の利用について考慮したうえで、高身長とがんリスクの増大に独立した関係が認められた。マンモグラフィ(乳房X線検査)、パパニコロー(Pap)検査、大腸検査などのがんスクリーニング受診歴を考慮しても、この関連は変わらなかった。
乳がん、大腸がん(直腸結腸がん)、子宮内膜がん、腎がん、卵巣がん、甲状腺がんのリスクのほか、さまざまな種類の骨髄腫およびメラノーマ(悪性黒色腫)のいずれも、身長に伴いリスク増大が認められたという。具体的には、身長が10 cm高くなるごとに、メラノーマ、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、結腸がんのいずれかを発症するリスクが13~17%増大し、腎がん、直腸がん、甲状腺がん、血液がんは23~29%増大した。
がんのスクリーニングなどの点でこの所見がどのような意味をもつかはまだわかっていないという。身長がスクリーニングにおいて有用な因子になるとは考えられず、「背を低くするように」と女性に推奨するものではないことは明白である。しかし、さらに研究を進めることによって、最終的にはがんの生物学やがんリスク増大への遺伝子の関わりについて解明される可能性があると、Rohan氏は述べている。
米国がん協会(ACS)のRebecca Siegel氏は、「例えば小児期の栄養が成人期の身長に影響を及ぼしたり、また、単純に背の高い人は細胞数が多いといったことも考えられる。根本的な理由はわかっていないが、この情報はがんというパズルの重要な1ピースであり、がんの解明に寄与する可能性がある」と述べている。(HealthDay News 7月25日)
http://consumer.healthday.com/cancer-information-5/mis-cancer-news-102/increased-height-linked-to-increased-cancer-risk-among-post-menopausal-women-678631.html
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