「New England Journal of Medicine」9月29日号に掲載された最新のデータによると、大腸内視鏡検査はいまでも最も有効なスクリーニング法であり、大腸がんによる死亡リスクが56%低減するが、軟性S状結腸鏡検査では40%、年1回の便潜血検査では32%の死亡リスク低減が得られるという。米国がん協会(ACS)のDurado Brooks氏は、「多くの患者は大腸内視鏡検査を受ける機会がないか、受けようという意思がないが、患者に選択肢を与えることによってスクリーニングの受診率向上を見込めることが多数の研究で明らかにされており、それが最も重要なことである」と述べている。
第一の研究では、約8万9,000人を対象に20年にわたり大腸内視鏡検査と軟性S状結腸鏡検査の利用について検討した。大腸内視鏡はカメラのついた細い管を用いて大腸全体を調べるもので、通常、患者には鎮静剤が用いられる。軟性S状結腸鏡はこれより管が短く、鎮静剤を用いる必要がない。今回の研究では、大腸全体のがんを予防するには大腸内視鏡のほうが優れているが、どちらの検査でも大腸がんによる全体の死亡リスクを大幅に低減できることが示されたと、研究著者の1人、米マサチューセッツ総合病院のAndrew Chan氏は述べている。
第二の研究は、化学薬品を用いて糞便中の微量の血液を検出する便潜血検査に焦点を当てたもの。米国退役軍人局(VA)医療センターとミネソタ大学(ミネアポリス)所属のAasma Shaukat氏率いる研究グループは、ミネソタ州在住の4万6,500人強の被験者を年1回または2年に1回便検査を受ける群、検査を受けない群に無作為に割り付け、死亡記録を用いて2008年までに大腸がんで死亡した被験者を確認した。その結果、年1回の検査では32%、2年に1回の検査では22%の死亡リスク低減が得られた。
多くのプライマリケア医の間では、便潜血検査は性能の劣る検査であるという認識があるため、この知見は特に重要だとBrooks氏は述べている。2つの研究の付随論説の著者である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のTheodore Levin氏は、現在は研究が実施された当時よりも便潜血検査の精度や感度がさらに大きく向上していると指摘するとともに、事前の下剤による腸洗浄が不要であるなど、便検査には大腸内視鏡よりも優れた点がいくつかあると付け加えている。
結論として、誰もが3つのスクリーニング法のうちの少なくとも1つは利用すべきであると、Brook氏は述べている。専門家は、大腸内視鏡検査(10年ごと)、軟性S状結腸鏡検査(5年ごと)、便潜血検査(毎年)のいずれかを受けるよう推奨している。(HealthDay News 9月18日)
http://consumer.healthday.com/cancer-information-5/colon-cancer-news-96/colon-cancer-screenings-work-twin-studies-report-680296.html
Copyright (c) 2013 HealthDay. All rights reserved.