脳性麻痺のティーンエイジャーは、身体障害のない人と比較して、生活の幸福度に差はみられないことが新たな調査で明らかにされた。脳性麻痺の若者は数々の困難に直面しながらも、生活の主要な側面について脳性麻痺でない人よりも良好な姿勢を持っていると回答している。一方で、高レベルの疼痛、親のストレス、社会的サポートの欠如が大きな打撃となる可能性もあることがわかった。
この研究を行った英ニューキャッスル大学(イングランド)教授のAllan Colver氏は、「身体障害をもつ人は不幸で満たされない生活を送っているという、広く蔓延する認識に異を唱えるものだ」と述べている。
「Lancet」に10月6日掲載された今回の研究では、ヨーロッパの9地域で脳性麻痺を抱える13~17歳の被験者431人を対象に、生活の質(QOL)に関する調査を実施し、身体的・心理的な満足度、気分・感情について尋ねた。さらに、被験者の自己認識、自立性、親との関係、社会的サポート、学校生活、収入源および社会的受容を評価した。被験者のうち355人は8~12歳時にもこの質問票に回答していた。
得られた回答を、脳性麻痺でないティーンの回答と比較すると、全体的なQOLには差がないことが判明した。脳性麻痺のティーンは、気分・感情、自己認識、親との関係、学校生活の面では、脳性麻痺でない人よりもむしろQOLが良好だった。一方、友人や仲間から受ける社会的サポートの量については、脳性麻痺患者のほうが悪い結果だった。
また、運動障害が特に重度の脳性麻痺患者は、気分・感情と自立レベルのQOLが低かった。さらに、疼痛レベルの高い患者は生活の全項目でQOLが低いことが判明した。
Colver氏は、「医師は、小児期の早い段階で疼痛、心理的問題、親のストレスを改善させるための介入措置を実施する必要がある。特に重度障害のある脳性麻痺の小児の支援に注意を向け、仲間との友人関係を持続させるとともに、青年期に入ってからも新たな友人関係を築けるようにする必要がある」と話している。
同誌の付随論説を執筆した米ケネディ・クリーガー研究所(ボルティモア)のAlexander Hoon氏とElaine Stashinko氏は、今回の研究は「脳性まひの青少年が、特に仲間との関係の維持・発展の面で助けを必要としている可能性を示唆するものだ」と述べている。(HealthDay News 10月7日)
http://consumer.healthday.com/disabilities-information-11/cerebral-palsy-news-121/teens-with-cerebral-palsy-report-high-quality-of-life-in-survey-692405.html
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