曝露療法と呼ばれる、愛する人の死の追体験が遷延性悲嘆障害(PGD)患者の助けになるらしいことが、オーストラリア、ニューサウスウェールズ大学(シドニー)心理学教授のRichard Bryant氏らの研究で示唆された。
研究論文は、「JAMA Psychiatry」オンライン版に10月22日に掲載された。
PGD(複雑性悲嘆障害ともいう)では愛する故人への思慕が続き、死を認められず、感情的苦痛、虚無感や悲痛感があり、新しい活動ができない。この疾患は、愛する人に先立たれた人の7~10%にみられる。
今回の研究では、PGD患者80人を10週にわたる2時間の集団認知行動療法(CBT)セッションに無作為に割り付けた。被験者はさらに4回の個別セッションで、愛する人の死を追体験する「曝露療法」か、もしくは何でも好きな話題を話すことのできる「行動療法」を受けた。
6カ月後、曝露療法群では行動療法群よりも、PGD、抑うつ、社会的機能が改善した。曝露療法群の約15%、行動療法群の38%にPGDがみられた。
Bryant氏は、「遷延性悲嘆障害は、精神健康問題、自殺念慮、不健康な行動、心臓障害につながる。うつ病と間違えられることが多いが、大きく異なる病態だ。この疾患を克服するには、確実に正しい診断が大切となる。そのうえで、自分自身と将来への気持ちを見直し、新たな関係と目標を構築するための、記憶などの感情的な関与を包含した心理療法を行う必要がある」という。(HealthDay News 10月23日)
http://consumer.healthday.com/mental-health-information-25/grief-news-751/exposure-therapy-may-work-for-prolonged-grief-disorder-692987.html
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