カリウムサプリメントにより、すでに利尿薬を服用している心不全患者の生存率が向上する可能性が、新たな研究で示された。
米国では約580万人が心不全に罹患している。心臓が適正に機能しないと、身体内に過剰な水分が蓄積することがある。ループ利尿薬と呼ばれる薬剤が余分な水分の除去に有用だが、この薬剤によりミネラルの一種であるカリウムも体外に排泄されてしまう。米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク)のTara Narula氏は、「心不全患者にとって利尿薬は一般的に処方される必要な薬剤だが、カリウム枯渇という副作用により、危険な心拍の乱れを生じることがある」と説明している。多くの医師が利尿薬を使用する心不全患者にカリウムサプリメントを処方しているが、それによる生存率へのベネフィットについて検討した研究は、今回が初めてだという。
米ペンシルベニア大学臨床疫学・生物統計学センター(CCEB)のCharles Leonard氏率いる研究グループは、メディケイド加入者で1999~2007年に利尿薬の服用を始めた心不全患者36万人のデータを解析した。半数がカリウムサプリメントを使用していた。被験者全体の死亡リスクは年間9%であったが、利尿薬フロセミドを1日40 mg以上服用する患者のうち、カリウムサプリメントを併用している患者は死亡リスクが16%低いことが判明した。1日40 mg未満のフロセミドとカリウムサプリメントを併用する患者の死亡リスクは7%低かった。この知見は、オンライン科学誌「PLOS ONE」に7月16日掲載された。
研究著者でCCEB 准教授のSean Hennessy氏は、「ループ利尿薬を使用する患者へのカリウムサプリメント投与は、生命を救う比較的安価な方法となる可能性がある。患者の健康維持に対して費用対効果の高い方法が求められる昨今の風潮において、この知見は検討を重ねる価値のあるものだ」と述べている。Narula氏は、今回の研究は低カリウム血症の患者のみを対象にしたものではなく、予防としてカリウムを使用している点で独特だと指摘する。米マウント・サイナイ病院(ニューヨーク)で進行性心不全・移植プログラムに携わるAjith Nair氏もNarula氏に同意し、「この研究は、高用量のループ利尿薬を使用する場合、カリウム補充が必要であることを強調するものだ」と述べている。(HealthDay News 7月16日)
http://consumer.healthday.com/circulatory-system-information-7/heart-failure-news-753/potassium-supplements-may-help-some-patients-with-heart-failure-689792.html
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