がんは一般的に、乳がん、膀胱がん、腎がんなど、発生した臓器によって分類されるが、各臓器はさまざまな種類の細胞により構成されている。今回の研究では、12種類のがんについて3,500を超える腫瘍サンプルを分析した。その結果、最初に発生した臓器によってではなく、細胞や分子の特徴に基づいて腫瘍を定義することにより、がん症例の約10%で診断を向上できる可能性があるとの結論に達した。
研究著者の1人である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)Buck加齢研究所教授のChristopher Benz氏は、「この研究は既存のがん分類システムに異議を唱えるだけでなく、さらに深い探求のためのデータ資源やリストを提供するものである」と述べている。この研究は「Cell」オンライン版に8月7日掲載された(印刷版は8月14日号)。
研究グループによると、膀胱がんおよび乳がんに顕著な結果がみられたという。膀胱がんには少なくも3種類のサブタイプ(亜型)があり、1つは肺腺がんと呼ばれる非小細胞肺がんの形状とほぼ同一で、もう1つは頭頚部や肺の扁平上皮がんに最も近いものであることがわかった。この知見から、膀胱がん患者に対する全身療法の奏効性に大きな差がみられる理由を説明できる可能性があると、Benz氏は述べている。
さらに、乳がんではbasal-like(基底細胞様)型およびルミナル(luminal、内腔)型と呼ばれる2つの型の違いが裏付けられるとともに、basal-like型乳がん(一般にトリプルネガティブと呼ばれる)が他の乳がんとは異なるクラスの腫瘍であることが判明した。研究共著者のDenise Wolf氏は、「basal-like型乳がんとルミナル型乳がんとの違いは、basal-like型乳がんと腎がんとの違いにも匹敵する」と述べている。basal-like型乳がんは極めて侵襲性が高く、黒人女性や若い女性によくみられる。分子レベルでは、他の乳がんサブタイプよりも卵巣がんや扁平細胞由来のがんに共通する部分が多いという。
免疫活性化についても、異なる種類のがんに類似する免疫シグネチャーが認められ、これは新たな免疫療法の開発にも関わるとWolf氏は述べている。Benz氏は、研究を重ねることによりがんの30~50%を再分類する必要が出てくる可能性もあるとし、「新たに提唱するがん分類システムの妥当性を確認し、精度を上げるにはさらに追跡研究が必要だが、最終的には患者と医師が待ち望むがんの個別化治療の時代を築く生物学的基盤となると考えられる」と付け加えている。(HealthDay News 8月7日)
http://consumer.healthday.com/cancer-information-5/mis-cancer-news-102/new-cancer-classification-system-might-boost-patient-outcomes-690533.html
Copyright (c) 2014 HealthDay. All rights reserved.