健常者の消化管などにみられる細菌の種類は多様であり、有益な微生物群といってもさまざまであることを、米ミシガン大学医学部准教授のPatrick Schloss氏らの研究チームが突き止めた。この知見は、「Nature」オンライン版に4月16日掲載された。
研究グループによると、人はそれぞれ生活史、食事、薬剤使用、環境曝露により生じた独自の細菌群をもっているという。このような細菌群を集合的に「微生物叢(microbiome)」と呼ぶ。Schloss氏は、「ヒトの微生物叢を変化させる因子について知るべきことがまだあることが示された」と述べている。
Schloss氏らは、300人弱の健康成人の細菌サンプルを分析した。サンプルは口腔、鼻腔、腸、耳の裏、肘の内側など18カ所から採取した。その結果、ある部位の細菌群のタイプによって、他の部位の細菌群のタイプを予測できることがわかったという。「予想外だったのは、口腔内の細菌群をもとに、その人の消化管にみられる細菌群のタイプを予測できたこと。2つの部位の細菌の種類が大きく異なっていても、それが可能であった」と、Schloss氏は述べている。
ある部位に生息する微生物の組み合わせから、その人の生活史のある側面を明らかにすることもできる。たとえば、教育水準が膣の細菌群のタイプに関連することや、母乳で育てられたかどうかが腸の細菌群のタイプに関連していることもわかった。性別も複数の細菌群に影響を及ぼしていた。なお、細菌群の変化と健康状態の変化に関連は認められなかった。
将来的には、この知見を医療現場に応用できる可能性があるという。「細菌群のタイプの多様性と、個人が特定のタイプを持つようになる機序や、タイプが変化する機序について解明できれば、それを利用して疾患リスクを評価し、治療を個別化できるようになる」と、Schloss氏は説明している。(HealthDay News 4月16日)
http://consumer.healthday.com/gastrointestinal-information-15/digestion-health-news-200/healthy-bacteria-are-as-individual-as-you-are-686848.html
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