米国では男女ともに肺がんが最も死亡数の多いがんであるにもかかわらず、肺がんよりも乳がんによる死亡が多いと考えられていることが、1,000人強の米国人女性を対象とした米国肺協会(ALA)の調査でわかった。また、多くの女性が非喫煙者の肺がんリスクを認識しておらず、肺がんの致死率の高さを知る人も少なかった。
ALAのAlana Burns氏は、肺がんの生存率が低いのも、その一因であると述べている。乳がんでは多くの患者が自身の体験を語るが、肺がんの場合、体験を語る患者がいないという。米国で女性に最も多いのは乳がんで、肺がんは第2位だが、死亡数が最も多いのは肺がんだ。しかし今回の調査では、死亡数の最も多いがんとして回答者の51%が乳がんを選択し、肺がんを選んだのは22%だった。今回の調査結果をレビューした米Scott & Whiteがん研究所(テキサス州)のSubhakar Mutyala氏は、乳がんでは定期的なスクリーニングが実施され、医師と患者が話をする機会が多いが、患者が喫煙者でない限り、医師が肺がんについて話題にすることはないと指摘している。
米国予防医療作業部会(USPSTF)は、現喫煙者や元喫煙者に年1回のCTスキャンを推奨しているが、肺がんになるのは喫煙者ばかりではない。ALAによると、肺がんと診断される患者の約10%は喫煙経験がないという。今回の調査では、回答者の半数は、喫煙したことがない、または禁煙に成功したから肺がんの心配はしていないと回答した(うち68%は生涯非喫煙者)。肺がんを喫煙者だけの疾患と考える人が多いが、非喫煙者の肺がんを別個の疾患と考えた場合でも、米国で死亡数の多いがんの10位以内に入ると、Burns氏は述べている。
非喫煙者の肺がんのリスクファクターとなるのは、天然ウランが堆積する土壌に建てられた家屋内での濃縮されるラドンガスへの曝露のほか、受動喫煙や大気汚染への長期的な曝露、ディーゼル排気やアスベストへの職業的曝露など。一部の肺がんには遺伝子変異が関与することも明らかにされている。ALAによると、肺がんの予後は過酷であり、診断から1年生存する女性は半数に満たないが、このことを知っていると回答した女性はほとんどいなかった。
この状況を改善するため、ALAは米国立衛生研究所(NIH)に対し、肺がん研究への財政支援の引き上げを求めている。乳がん、前立腺がん、大腸がんを合わせたよりも肺がんによる死亡者が多い事実にもかかわらず、財政支援が少ないのが現状であると、Mutyala氏は述べている。ALAは肺がんに関する情報の得られるウェブサイト「Lung Force」(lungforce.org)を新たに立ち上げ、女性の参加を呼び掛けている。(HealthDay News 5月13日)
http://consumer.healthday.com/cancer-information-5/breast-cancer-news-94/lung-cancer-not-on-many-women-s-radar-survey-687757.html
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