うつ病である55歳以下の女性は、心筋梗塞リスクまたは心疾患で死亡するリスクが健康な女性の2倍以上であることが、米エモリー大学ローリンズ公衆衛生大学院(ジョージア州)助教授のAmit Shah氏らの研究で示された。この年齢の女性は、男性や高齢女性に比べてうつ病になりやすいこともわかった。
気分障害と心疾患の間にこのような関連がみられる原因は不明だが、Shah氏は、「若い女性は、神経生物学的またはホルモンの違いにより、急激な精神的ストレスに対する反応が男性や高齢女性とは異なる可能性がある」と指摘している。55歳を越える女性および男性全体では、うつ病と心疾患による死亡リスクの高さとの関連はみられなかったという。
「Journal of the American Heart Association」オンライン版に6月18日掲載された今回の研究によると、女性が生涯に心疾患を発症するリスクは50%以上であるという。研究チームは、心疾患の診断を受けているか、その疑いのある男女3,200人強を2003年から2010年まで追跡。患者の平均年齢は約63歳で、3人に1人が女性であった。全被験者に動脈疾患の有無を評価する冠動脈造影検査を実施。3年の追跡後、55歳以下の女性は中等度から重症のうつ病のリスクが最も高く、27%が臨床的にうつ病とされたのに対し、65歳以上の男性では9%だった。
男性全体および高齢女性ではうつ病と心疾患リスクの関連は認められなかったが、55歳以下の女性では、うつ症状評価尺度が1ポイント上昇するごとに心疾患リスクが7%増大した。若年および中年のうつ病の女性は、心筋梗塞を起こすか、動脈を広げる侵襲的な治療を必要とするリスクが2.17倍であり、追跡期間中での全原因死亡リスクが2.45倍だった。Shah氏は、うつ病の若年女性は健康的な生活や積極的な予防治療に取り組む必要があると述べるとともに、うつ病のため診療を受ける能力が低下することもあるため、友人、家族、医師の関与が必要だと指摘している。
米アイオワ大学心理学教授のMichael O'Hara氏によると、男女ともに心疾患とうつ病の関連は以前から認められていたという。「うつ病は炎症プロセスおよび免疫機能に関連することがわかっている。そのため、うつ病によって身体が疾患から回復する能力が低下するという考えもある」と、同氏は説明するとともに、今回のような研究は、男女いずれにとっても極めて重要であると付け加えている。 (HealthDay News 6月18日)
http://consumer.healthday.com/mental-health-information-25/depression-news-176/depression-linked-to-worse-heart-health-among-younger-women-study-says-688984.html
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